治療について

精神療法・リハビリテーション

 2018/4/15 

統合失調症の精神療法には、普段の治療のベースとなる支持的精神療法、妄想や幻聴への対処を身につける認知行動療法、グループディスカッションを通して、自分の病気を見つめ直す集団精神療法があります。

(1)支持的精神療法

統合失調症の患者さんは、過度の緊張や不安などの症状からくる、辛さや苦しみを抱えています。支持的精神療法では、このような辛さや苦しみに対して共感を示し、その上で、薬物療法が現在の症状を和らげるのに役立つことを説明し、病気に対する不安を出来るだけ取り除くようにカウンセリングをします。

(2)認知行動療法

認知行動療法は、誤った考えや歪められた思考パターンを修正する精神療法です。統合失調症では、妄想的信念や幻聴に関わる信念などを対象に、認知行動療法が行われます。妄想や幻聴そのものを否定するのではなく、肯定しつつも様々な角度から検討し、妄想や幻聴の内容について非合理性を自覚出来るようにして、誤った信念と距離をとれるようにし、幻聴に対しては影響されないように具体的な対処の仕方(copingと言います)を身につけていきます。

(3)集団精神療法

集団精神療法は、複数の患者さんが集まり、それぞれの抱える心の問題を話し合うことで自分の心の問題を客観的に認識し、同時に困難な状況を乗り越える方法や技能を身につけることを目指した治療法です。集団の中で自分の問題を語ったり、他の人の問題を聞いて、それに対して感じたことを発言する中で、自分の感じ方や反応の仕方を知ることが出来ます。同じ悩みを共有することによって、孤独感を緩和することができるのも、集団精神療法の効果の1つです。

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【リハビリテーション】

統合失調症のリハビリテーションには、社会・生活技能の回復を図るソーシャル・スキル・トレーニング(SST)や、実際の軽作業やレクリエーションなどを通じて職業的機能を養ったり、生きがいや楽しみを見いだすための作業療法があります。

(4)ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)

ソーシャル・スキル・トレーニングは、病気によって低下した社会技能や生活技能を回復するための援助技法で、一般的にグループによるロールプレイ形式で行われます。SSTには、主に『基本訓練モデル』、『問題解決技能訓練モデル』、『モジュール』の3つがあり、それぞれ必要に応じて選択されます。

① 基本訓練モデル
主に対人的コミュニケーションが円滑に行えるように、相手の話を理解し、どのように反応すれば良いかを判断・処理し、自分の考えを正確に相手に伝えるなどの訓練が行われます。

② 問題解決技能訓練モデル
思い込みやこだわりが激しいために問題解決の選択肢が狭まりがちな場合に、考え方やモノの見方を広げて、最適な選択肢を導き出せるように訓練していきます。

③ モジュール
服薬自己管理モジュール、病状自己管理モジュールなど個別の課題学習パッケージがいくつか用意されており、必要に応じて学習していきます。

【作業療法】

作業療法は、作業療法士の指導の下に、手芸や園芸、料理、木工などの作業活動を通じて、楽しみや充実感、達成感などを再体験し、日常生活や社会生活機能の回復を目指すものです。作業活動とは、人間が何らかの行動を起こそうとすること、そして起こすことです。例えば、生活に関連する活動、仕事に関する活動、遊び・余暇に関する活動、休養・休息などがあります。

作業療法には、生きがいや楽しみを見いだすためのレクリエーション性が高いものから、パソコンによる作業など、将来の就労を目指した職業性の強いものまで、様々な種類があります。

① 施設基準
作業療法士一名に対して、1日1単位25名(最大 2単位 50名)に対して行います。 集団で行うことが多く、時間は2時間です。

② 役割
健康な部分に働きかけることで、持っている能力を維持します。
低下している機能の回復や改善を図ります。
料理や健康管理など、生活に必要な知識や技術を提供します。
生活の質を高める手助けをします。

③ プログラム
作業活動には、手先を使ってする作業から体を動かす運動まで、さまざまなプログラムがあります。好きなことや趣味特技をきっかけに始めることができます。

<プログラムの例>

箱折り/手芸/ゲーム/ぬりえ/カラオケ/院外レクリエーション/革細工/編み物/音楽/囲碁/将棋/オセロ/ジグソーパズル/映画鑑賞 /料理/園芸/卓球/ソフトボール/ドライブ

内容によっては、急性期から参加できる単純作業もあります。

急性期でも参加することで、行動が症状に左右されたりする病的な状態から脱し、作業を通して適度に現実感を得ることができます。また、単純作業は取り組み始める抵抗が少ないので、どなたでも参加しやすいです。

体を動かすプログラムでは、運動不足や身体機能の低下がある方などに対し、身体機能を維持・改善したり、運動によって発散することで、リラクゼーションに繋がります。また、全身を使うことでバランス感覚を養うことができます。

④ 作業療法の効果
作業に集中することで幻覚などの症状があっても気にならなかったり、軽減したりします。特に陰性症状に対しては、薬物療法よりも作業療法などのリハビリテーションが有効とされています。そのため、症状への対処方法が見つかったり、その方法が趣味につながったりすることもあります。作品を完成させる達成感が、自信ややりがいにつながります。
また、参加するだけで他者との交流の場になるため、同じ病気を持つ人と関係を作ったり、交流が広がったりします。他者と共同で物事に取り組むことで、自分自身をコントロールする能力や対人交流を行う上で、必要な能力を養うことができます。
慢性期でも継続して作業療法に参加することにより、生活にメリハリをつけ生活習慣の改善を図れます。

⑤ さいごに
作業療法は、言語を使わず参加することができ、作業という現実的な体験を通して能力を評価することができます。他者と関わることで病状が不安定になったり、集団という環境から、極端に集中力を欠く場合もあります。集団での行動の特性や問題への対処能力、病的な体験の影響を推測推測することができます。また、多様なプログラムがあるため、強みや課題を発見しやすいです。

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