活⽤できる資源や制度

自立を支援する就労の場

 2018/4/15 

障害者の働き方は様々です。

(1)オープンとクローズ

障害について雇用先に伝えて働くオープンな形と、障害のことを伝えず働くクローズな形があります。

これに関しては、障害受容などにも関係してきます。

① オープンな形で働くこと

オープンで働くと自分の努力だけでなく、周囲のサポートや理解・配慮を得ながら就職活動や就労ができます。

しかし、障害福祉サービスの利用を含め、オープンで働くためには、本人が障害について受容できていないと、利用することは難しいです。特に就労支援事業所B型は最低賃金も出ないため、ご本人にとってそれ以上の利用の目的がないと、就労の定着につながりません。また、オープンにしたからといって、100%サポートや配慮が得られるわけではなく、社会人として必要な自己管理や対応力は、どの会社でも求められます。

② クローズな形で働くこと

クローズでアルバイトやパートなどで働く形は、一般的な働き方です。面接のチャンスは多く、希望の仕事が見つけやすいです。一方で、就職後、職場の人には障害ゆえの働きづらさを理解してもらうことができないため、オープンで働く以上にストレスを感じることもあります。また、職歴のブランクの部分や転職を繰り返している場合などは、会社から理由を聞かれることもあります。

(2)働くちから

就労するために気をつける点がいくつもあります。(以下全てが出来なければいけないわけではありません。)

① 病状管理
自分の病気について理解することが必要です。不調になりやすい場面や時期、その時の対処方法を身につけることで、状態が悪化することを未然に防ぐことができます。このように病識があることは、継続的な通院・服薬にもつながります。

② 日常生活管理、基本的な生活のリズム
仕事をすると、当然ですが、朝起きて、仕事場まで行き、日中は仕事をし、夜は就眠するという生活リズムを継続していきます。朝起きれない、不眠、食生活が整っていないなどの状態が続くと、体調にも影響してきます。そのため、食生活、睡眠、日中活動を確保し、生活リズムを整えます。病気の陰性症状から活動することが億劫だったり、眠気が強かったり、意欲がわかないこともあります。そのような場合でも、仕事となれば継続して通勤します。
また、就労すると給料が入りますが、お金は生活の基盤となります。欲しいものをすぐ買ってしまったり、お金を使いすぎて食事を十分摂取できなかったり、支払いがあるからと無理をして仕事をしてしまう場合もあります。1ヶ月の生活を見通して計画を立てて使うことが生活や精神的な安定につながります。

③ コミュニケーション力
就労するということは、ただ単に作業が出来ればよいというわけではありません。一人で働くわけでなく、他者と協調しながら仕事を行います。価値観や考え方が違う人たちが一緒の環境で働くわけですから、最低限社会人としてルールやマナーを守らなければなりません。ただ、経験の少なさや相手の気持ちを推測することが苦手なことから、コミュニケーションでつまずくことは少なくありません。言葉一つでも、相手の意図と違う意味で受け取ってしまう場合もあります。
例えば、身だしなみ一つとっても、飲食店に着古した服で出勤すると印象は良くないです。その場に合った髪型・化粧・服装を選ぶことが求められます。
しかし、そこまで気にすることができなかったり、経験の少なさから『知らない』なんてこともあります。
また、働く中で分からないことや不安があれば質問をしたり、仕事内容に自信が無かったりしたときは、意思表示をすることが必要ですが、質問をするタイミングが計れなかったり、うまく言葉に出来ないなど、困ることがあります。コミュニケーションを図ることができると、双方の理解につながります。
そのほか、他者とコミュニケーションを取る中で、うまくいくこともあれば、そうでないこともあり、感情のコントロールをできることが、仕事場の環境を良いものにします。

④ 基本的労働習慣
職場でのあいさつ、返事、職場のルールを守る、報告、連絡、相談、勤務時間、通勤範囲、安定出勤できるか、仲間と仲良くできるか、配慮してほしいこと

⑤ 職業適性
病状が安定していても、症状や作業能力、集中しやすい作業や環境、やりたい仕事などは人それぞれです。自分の出来ることの範囲を知ることも必要です。

上記より、就職活動を行うにあたっては、自分のできることやできないことを振り返ったり、長所や短所を考えながら職種や労働条件を考えるという、自分を振り返る作業です。

就労に関しては、家族や周りが進めて障害者本人を就労させようとする場合が多々あります。しかし、就労する本人に働く気持ちがなければ続かないです。反対に、働く気持ちがあり、自ら行動を起こす人は、就労につながります。

就労を目指す中で、うまくいかないことも多くあります。精神障害がある方は、失敗体験から自信をなくし、それが病状の悪化につながることもあります。

そのため、失敗体験をした時に、一緒に振り返ることができる関係性を作っておくことが大切です。できていること、改善すべきところなど、フィードバックすると良いでしょう。

(3)就労支援している機関

以下が障害者の就労をサポートする場所です。

障害状態や働く力、希望に応じて利用するサービスや機関は異なります。

・障害者総合支援法におけるサービス

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上記の事業所には福祉職のスタッフが勤務しているため、体調に応じて柔軟に対応することが可能です。必要に応じて、事業所職員、主治医や、病院スタッフ等と話し合いを行いながら、就労について考えていくことができます。

・障害者就業・生活支援センター

国と県からの委託により、仕事につきたい人や仕事をしている人の様々な相談・支援を、関係機関と連携して行っています。利用するにあたって、就業面と生活面の支援担当者がつき、就労定着支援を行います。

就職準備支援として、まず、様々な作業への取り組みを通して、就職する上で必要な労働習慣、職業態度などのを身につける職業基礎訓練があります。評価を受け、改善する点に関して訓練を行います。そして、実際の職場での作業を通して、働くための準備訓練を行い、不安を取り除き、就労への意欲を高めていきます。

就職後の支援としては、継続して就職できるように、他関係機関と協力しながら、不安や課題の解決に取り組んでいます。また、安定した職場生活が送れるように、必要に応じて職場・家庭訪問します。

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・公共職業安定所(ハローワーク)

障害者窓口では、障害のある方の就労について、相談・職業紹介などを行っています。

① 職業相談・紹介
仕事探しの相談・紹介を行います。例えば、就職したいという気持ちはあるが準備が整っていなかったり、就職活動に対して緊張や不安感が強く現実的に就労につながらない人に対して就職活動に関する知識や方法、関係機関の紹介を行います。

② トライアル雇用
事業所に対して3ヶ月間の試行期間中の賃金助成を行います。試行期間中に、業務に対する適性や能力を見極め、その後の雇用継続などのきっかけを作ります。

③ 特定求職者雇用開発助成金
長期の雇用となった場合に賃金助成を行います。(仕事が長く続けられるように、企業の負担を軽減します。)

④ 定着支援
就職後、必要に応じ職場を訪問し、職場定着の支援を行います。

・就職支援カウンセリング

精神保健福祉士が不安や悩みなどを聞き、就職に向けて必要な相談・助言等を行います。

・障害者職業能力開発校

各地で障害者職業能力開発校が設置されています。障害者の就職を容易にし、社会的自立を促進するため、能力に応じた職業能力開発を実施しています。詳しくは最寄りのハローワークにお問い合わせください。

・(地域の)障害者職業センター

就職を希望する障害のある方に対して、ハローワークが行う職業紹介の業務と連携しながら、就職のための相談や職業準備支援、ジョブコーチ支援等を行い、障害のある方が職場に定着できるよう、支援を実施しています。また、事業主に対して、ハローワーク等と連携しながら、障害のある方の雇入れに関する相談や、職場に適応するための支援をしています。

① 職業評価
事業所に通い、仕事に対する能力や適性の評価を行います。

② 職業準備支援
発達障害や精神障害のある方などで就職を目指す方に対して、個別のニーズに応じた個別カリキュラムを作成し、センター内に設けた作業室での作業や、企業での実習等を通じて、働くための基礎となる労働習慣、職場で必須となる基本的なコミュニケーションや、ストレス対処の方法等を身につけるための支援を行います。(支援期間:1〜3ヶ月)

③ ジョブコーチ支援
障害のある方の就職や職場定着のためにジョブコーチ(職場適応援助者)が雇用先に出向いて、障害特性に応じた支援を行います。
支援の開始時期は、①雇用前の職場実習から、②雇用と同時、③雇用後の3つのパターンがあります。支援期間は、個別に必要な期間(標準2〜3ヶ月間、最長7ヶ月)を設定します。

④ リワーク支援
うつ病等で休職中の方を対象に、職場復帰支援(リワーク)を行っています。
職場復帰のために必要なウォーミングアップなどの支援を、センターにて実施します。また、必要に応じ、復帰先企業でのリハビリ出勤等も活用しながら、円滑に復帰できるよう支援を実施します。

【さいごに】

精神障害者の就職件数は、過去5年間3障害(身体・知的・精神)の中で一番多く、平成28年度は41,367件で、前年度と比べて2,971件増えています。しかし、就職後の定着率が悪く、障害者と雇用者、双方のさらなる理解が求められます。

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