精神科医の声

統合失調症Q&A

 2018/4/15 

統合失調症は、絶対に完治しないということはありませんが、一般的に完治の可能性は低いと考えられています。と言うのも、統合失調症は慢性的な疾患であり、治療によって安定を得られた後も、その多くが再燃(再発)、急性増悪することがあります。再燃・急性増悪の主な原因としては、抗精神病薬の中断やストレスなどがあげられますが、薬物治療を継続していても、統合失調症の自然経過として、再燃・急性増悪をきたすこともあります。

そのため、精神科医療の現場では、『完治』という言葉ではなく、『寛解』という言葉を用います。

統合失調症の原因は、現在のところ、まだはっきりわかっていませんが、遺伝が病因に強く寄与することは事実で、家系の発端者が統合失調の場合、生物学的親族における統合失調症の有病率は、有意に増加します。統合失調症患者の第1度親族は、統合失調症に罹患するリスクが一般の人よりも10倍高いと言われています。ただし、現在の研究結果では、統合失調症の原因には素因と環境の両方が関係しており、素因の影響が3分の2、環境の影響が3分の1と言われています。

従って子供は、親から遺伝と環境の両方の影響を受けますが、それでも統合失調症の母親から生まれた子供のうち、同じ病気を発症するのは10%と言われています。

ですので、血縁者が統合失調症であるから、自分も必ず統合失調症になると考える必要はありません。

統合失調症は、慢性的な疾患であり、再発する可能性が高い疾患です。

必ず再発するということはありませんが、ストレスや、抗精神病薬の中断で再発することがあります。また、きちんと抗精神病薬の内服を続けていても、再発することがあります。統合失調症は、服薬をきちんと行い、再発(再燃)を防止するのが基本的な治療方針となります。主治医と相談しながら、お薬を継続してください。自己判断による中止は再発のリスクが高くなるため、絶対にしないでください。

また、日本神経精神薬理学会から発表された統合失調症の薬物治療ガイドラインでは、抗精神病薬の服薬継続は少なくとも1年間まで再発率を低下させるため、初発精神病性障害の再発予防の観点からは、抗精神病薬は少なくとも1年間は続けることを強く推奨しています。

抗精神病薬に限らず、副作用のないお薬は、基本的にありません。

抗精神病薬では、手が震える、舌がもつれる、ぼんやりする、じっとしていることができなくなる、便秘、唾液が出すぎる(または出なくなる)、月経が止まる、乳汁が分泌されるなどの副作用が出る場合があります。

副作用が生じた場合、主治医に相談し、薬の量や種類を変えてもらうなど、調整してもらいましょう。

※薬の副作用については、こちらのページを参照してください。

統合失調症は、ストレスにより再燃(再発)、急性増悪することがあります。また、就職や進学、結婚(恋愛)などのライフイベントでも、再発(悪化)することが多々あります。周囲の人の助けも借りて、ストレスの少ない環境を整えることが重要です。

結論から言うと、妊娠・出産は可能です。

近年では、統合失調症患者さんに対するケアの向上や、非定型抗精神病薬の使用により、女性患者さんの50〜60%が妊娠可能となっています。抗精神病薬による催奇形性の懸念もありますが、抗てんかん薬と異なり、妊娠中の抗精神病薬の使用については、特異的で頻度が高い形態奇形は報告されていません。もちろん、多剤併用・大量投与は避けなければいけません。また、医師は抗精神病薬による催奇形性の懸念よりも、患者さんの精神症状の管理を重視して対応しなければいけません。

妊娠・出産は、新しい生命と誕生という大きな喜びである反面、大きなストレスもかかってきます。統合失調症患者様の精神状態には、特に注意が必要となってきます。

出産後、薬の成分が母乳に移行する可能性があるので、母乳保育は避けてください。

『ほどよい距離感』を保つことが重要です。

良かれと思って、近くにいすぎることが、かえってストレスになることがあります。

また、気をつけなければいけないポイントは2つあり、『批判的な接し方』、『患者さんをあまりにもかばいすぎる接し方』です。良くなって欲しいという気持ちが根底にあると思いますが、期待しすぎると、批判的になってしまったり、心配のあまり過干渉になってしまうので、気をつけてください。

相手に、どのような言葉で病気のことを伝えたら良いのか、どこまで話したら良いのか、しばしば相談されますが、『こうしなければいけない』という正解はありません。相手との関係性によっても変わってくると思います。

また、病気のことに限らず、誰にも知られたくないこともあると思います。 悩んだ時は、すぐに結論を出すのではなく、家族、主治医、カウンセラーなど、相談出来る相手に相談してから判断するのが良いと思います。

近年の医学の発達により、薬で症状がコントロールしやすくなり、さらにリハビリの場が広がったことから、社会復帰する患者さんが増えています。半分以上の患者さんが、普通の生活を送っているというデータもあります。特にLAI(持効性注射剤)の出現により、内服しなくても良くなった患者さんが増えて、一般の人と同じように社会復帰される方が増えています。

LAI治療について

結論から言うと、統合失調症患者さんは、一般の人に比べて寿命が短いと言われています。その理由としては、事故死や自然死、自殺が一般の人に比べて多いことが挙げられます。統合失調症患者では、精神状態が不安定なことで、内科的あるいは外科的な診断や治療を行うことが、臨床的に困難となることがあり、その結果診断・治療されることなく、自然死となってしまうことが一般の人よりも多くあります。

自殺が統合失調症患者の主要な死因になっていることも挙げられます。幻聴や妄想に左右されて衝動的に自殺をしてしまったり、抑うつ的な状態から自殺を考えたり、家族や友人から拒絶され、孤独感から自殺を考えたりすることがあります。特に回復後の早期段階や、統合失調症発症後早期の若者で、自殺のリスクが高い傾向にあります。

統合失調症患者では、4分の3以上が喫煙しているという報告があるほど、喫煙率が高い傾向にあります。喫煙によって、抗精神病薬の副作用(パーキンソン症状)が軽減することや、タバコの煙の中に含まれているニコチンが騒音に対する過敏性を軽減し、陽性症状(主に幻聴)を軽減することが示唆されています。その結果、統合失調症患者は喫煙量が増え、一般の人に比べてタバコによる健康被害が生じている可能性があります。

また、統合失調症によって生じる抑うつ気分や不安を減らすために、アルコールなどの物質依存になることも多く、健康被害が出やすくなります。

きちんと内服をし、適切な治療をきちんと受け、病状をコントロールすることで、一般の人と同じ寿命になると考えられています。

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